GISで見る平成23年(2011)霧島火山新燃岳の噴火

  霧島火山の新燃岳が平成23年(2011)1月26日に噴火しました。新燃岳は1959年、1991年、2008年に小規模な噴火活動がありましたが、今回の噴火は、文政四年(1822)以来のマグマ噴火です。噴火による火山灰は上空の風によって新燃岳の南西側に運ばれ堆積しています。1月27日〜29日に国土交通省は、新燃岳周辺の128地点の降灰状況調査を実施し、火山灰の堆積範囲と厚さを明らかにしています。それを受け、宮崎県では降灰による土石流のおそれが高まっている土石流危険渓流及びその想定氾濫区域を「降灰による土石流防止区域」に設定し、2月10日より県のホームページで公開しています。
  株式会社防災地理調査では、一般の皆様にも分かりやすいように、GIS(地理情報システム)により霧島火山の構造や新燃岳の降灰による土石流防災区域に関する資料集を作成しました。

※また、享保元年(1716)の噴火とその後の土石流災害等に関する古文書調査も、現在実施中です。

鳥瞰図

図1 霧島火山の南西側から眺めた鳥瞰図です。標高データは国土地理院作成の基盤地図情報(数値標高モデル)10mメッシュを用いました。これにランドサット画像を重ねてあります。使用したランドサットデータは2002年5月撮影のもので、バンド4に赤、バンド3に緑、バンド2に青を割り当て、フォールスカラー合成をしました。この図では植生の有る部分は赤色に、裸地や都市部は灰色に見えます。



霧島火山山頂付近のランドサット画像

図2 ランドサットデータのバンド7に赤、バンド4に緑、バンド3に青を割り当てました。この図では、植生の有る部分は緑色に、裸地は緑以外の色になっています。比較的最近噴火した御鉢(1895年、1896年、1900年、1923年)、硫黄山(1768年)、新燃岳の火口周辺が裸地になっているのが分かります。

土石流危険渓流(ランドサット画像)

図3 ランドサット立体画像に国土交通省の緊急調査により求められた火山灰の厚さ(1月29日現在)と宮崎県が設定した降灰による土石流防止区域(2月10日現在)を示しました。カラー合成は図2と同じです。

霧島神宮側からみた新燃岳のハザードマップ

図4 平成21年(2009年)3月発行の霧島火山防災マップにおいて、「新燃岳が火口となった場合の災害区域予測図」を立体化して示しました。霧島神宮の方向から眺めた図で、基図は10mメッシュ標高から作成した鳥瞰図に傾斜区分図を重ねてあります。高さは1.5倍にしてあります。
色の線は、過去の大規模噴火から想定した災害区域予測図による想定範囲を示します。青色は火山泥流、橙色は火砕流、緑色は溶岩流、黄色は熱風の達する想定範囲です。火山泥流は霧島神宮付近まで到達する可能性があります。
赤丸は主な観光施設で一部の施設は被害を受ける可能性のある範囲に位置しています。

図5 図4と方向を変え、高原町の方向から眺めた図です。火山泥流、火砕流及び溶岩流は、矢岳を回避するように谷沿いを流下すると考えられますが、熱風は市街地付近まで達するものと想定されています。

新燃岳のハザードマップと土石流危険渓流の比較

図6 霧島火山防災マップ(風向きの条件なしで降灰50cm以上となる想定範囲・火山泥流の想定範囲)と今回の噴火で宮崎県が設定した降灰による土石流防止区域(2月10日現在)の比較です。霧島火山防災マップでは新燃岳の周囲に厚く火山灰が堆積し(図中青線が50cm以上積もる恐れのある範囲)、火山泥流が霧島川、高崎川を流れ下ることが想定されています(図中水色の範囲)。今回の噴火では火山灰は北西の季節風によって運ばれ、新燃岳の南東側に堆積しています。したがって、高千穂峰の南側斜面などで土石流発生の恐れがあります(黄色の線)。これから季節が変わると風の向きも変化しますので、噴火が継続すると降灰の範囲も変わり、土石流の発生する恐れのある範囲も変わるかもしれません。
  

引用文献

・環霧島会議:霧島火山防災マップ
  (リンク先URLは環霧島会議構成員の都城市ウェブサイト内とした 平成21年3月公表)

・国土交通省:霧島山(新燃岳)噴火に伴う土砂災害に関する緊急調査の結果について
  (平成23年2月4日公表)

・宮崎県:霧島山(新燃岳)噴火に伴う降灰による土石流に対する警戒避難に関する対応について
  (平成23年2月10日公表)